あなたにはつげ義春先生の短編で好きな話はあるだろうか。
私にはあり、今回はそんな話4選を紹介しようと思う。

わーっ!つげ先生キターーー‼︎面白いよね。

ああっ。面白いな。それと絵が上手いんだよな。つげ先生。
池波正太郎先生も読んでたみたいだぜ。
近所の景色
つげ先生が暮らしていたアパートの近くに存在した朝鮮人集落を題材としたフィクション。
私がつげ義春のマンガとしていち早くイメージするのが、この短編だろう。決して極端な表現を使わず、それでいてどこか牧歌的な日常風景がそこにある。そんなつげマンガを私は好きである。
特にザリガニのシーンなんかは数コマしかないが自然に登場するため後々まで印象に残る。つげマンガ全般に言えるのだが、登場人物に血が通っているため、ついノンフィクションと勘違いしてしまうのもそのためであろう。始まりから終わりまで自然で視覚的のも楽しい作品である。

え〜ーっ!この話フィクションなの?すごい自然な日常感醸してるけど。

ちくま文庫の解題によると完全フィクションらしいゼ。話とか情景が上手いよな、つげ先生。

ザリガニの動きがうますぎでしょ。無念までが最高😆
隣の女
自伝的要素にミヨという女性、下宿の人々、主人公を含めた庶民の逞しさ、あっけらかんさを入れた作品。
この作品は半自伝作品で、闇米を千葉県佐原まで買い付けに行くのはおそらく事実だろう。なぜならルートから農家の様子までリアルだからである。私がこの作品に惹かれたのもそこにある。
私自身松戸、流山、我孫子などに住んでいた過去があり、実家がそのあたりに存在する。祖父から昔馬車が通っていたとか、すごい荒れた道だとか聞かされていたので、昔の流山から松戸、利根川沿いの風景に憧れのようなものがあり、そこをつげ先生に描いてもらっているので個人的にはありがたいの一言である。他にそんなマンガはないためだ。
そしてなんと言ってもこの作品が好きな理由として、最後に麻袋再加工の主人からつげ氏(作中だと津部)にアンポってしているかとの問いに知らんと答えているところである。実際生活に追われていて本当に知らなかったらしい。アンポとは安保であり、安保闘争のことである。
この時代のマンガ家や作家などには多く安保闘争に参加していた方がおり、その名残りなのか現代でもいき過ぎた批判を目にすることが少なくない(中にはサイン色紙にまでそんなことを書いてるのを見たことがある)。そんな中つげ先生のような気取らない方が珍しく感じたためホッとした次第です。

つげ先生って背景というか情景描くの上手だよね。ブタさん可愛い❤️

ああっめっちゃ上手いゾ。池波正太郎先生がつげ義春と上村一夫を読むのは絵が上手いからだと言ったくらいだからな。
海辺の叙景
20歳前後の青年が里帰りした際、美しい女と知り合うセンチメンタルな青春もの。
この話を選んだ理由として、海辺の情景の絵に惹かれるからである。
つげ先生は山みたいな風景の絵はいくつかあるが、海辺の絵が少ない。この短編はたっぷり海辺の絵を描いており、その上手さは天下一品である。絵をもっと見たいと思った漫画家は、岩明均や紡木たく、夢路行、星野知世くらいだろうか。

この話に出てくるお姉さん可愛いよね。ショートカットがすごい素敵❤️

そこも魅力の一つだな。
退屈な部屋
ある若夫婦の夫が妻に内緒で小さな部屋を借りるがすぐにバレてしまう日常風フィクション。
この話も「近所の景色」同様、牧歌的で作者自身の自伝なんかじゃないかと錯覚する日常感が味わえる良質な短編だと感じました。
作品としては若夫婦ものとして他にもいくつか作品があるが、特に繋がってるわけでもないので、単品で読んでも十分楽しめる作品です。
視覚的にも夏を連想させる影をベタで塗る陰影のはっきりした画で楽しませてくれるのと、ラストのコマも晴れた昼頃を二人野原を歩くいい絵となっているので、心地よい印象を残してくれるので好きです。

なんかこの若奥さん、ちょっとした仕草が愛らしいんだよね。手紙出したり。

言えてるな。つげ先生にはもっと可愛い作品も描いて欲しかったゼ。キャラクターたてるの上手いし、観察眼が鋭いから愛らしいキャラがたくさんできたと思うゼ。
まとめ(感想)
いかがだったでしょうか。今回は4選選びましたが、他にもたくさん面白い作品や、変わった作品があるので、読んだことのない人は、多くの作品を読んでみてはいかがでしょうか。
私自身新しいつげ作品がないかたまにチェックしている次第です。
また、近年の2020年にフランスのアングレーム国際漫画祭で特別栄誉賞や2024年の旭日中綬章受章が贈られたことに関して、優れた作品が評価されたのをみて嬉しく思います。
これからもつげ義春について何かしらの発信をしていこうと思うので楽しみにしておいてください。
以上です。ありがとうございました。
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